もう一つの物語。



今年の有馬記念ではサンライズペガサスのほか、

ゼンノロブロイ

ヘブンリーロマンス

タップダンスシチー

が引退した。



引退レースはやっぱり寂しい。

ゼンノロブロイは最後のレースで、初めて掲示板を逃した。

8着に終わったことを騎手自身が信じられないといった感じで、

昨年の年度代表馬は王者の位を不本意に手放すことになった。

ヘブンリーロマンスは6着。

まさかの天皇賞勝ちだったが、JCでも7着となり、実力を見せ付けることはできた。

まだ5歳。

走ろうと思えば走れるはずだが、綺麗なままで引退を選んだ。



そしてタップダンスシチー。

誰もが勝つと信じて疑わなかった宝塚記念でまさかの7着。

天皇賞も不振に終わった。

8歳という高齢のためか、

「もう終わった」という声も多く聞かれた。

しかし、JCではレコードを生み出すことになる超ハイペースで

先頭を走り続け、9着という結果以上の期待を生むことになった。

タップはまだ死んじゃいない!



しかし、有馬記念はタップの衰えを見せ付けるかのようなレースになった。

ハナを切るもスタートから苦しそうな走りを見せる。

そして遅い。

2年前のJCで見せた、どの馬も寄せ付けないような

黄金の脚はもう使えなかった。

4コーナー、コスモバルクにあっさり抜かれ、馬群に沈んだ。

12着。



俺はタップの衰えを信じたくなかったし、

ペガサスのことも考えると、どうしてもハイペースで飛ばして欲しかった。

衰えることの哀しさを知った。

去年に引退すれば王者のままでいられたのに・・・。

かつての姿を知る人にとっては見たくない姿だった・・・・。



けど、これは俺の独りよがりな見方なのかもしれない。

レース後行われた引退式には2万人が集まった。

涙する人もたくさんいた。

タップのファンが集う掲示板では、誰もがタップへの感謝を述べていた。

こんな歳まで走ってくれて本当にありがとう、って。

衰えを見せてまで走らせるのは酷だと考えていた俺は、寂しい人間なのかもしれない。

結果がついてこなくたって、往年の走りを見た人にとっては、

走る姿を見るだけで勇気が湧いてくるのかもしれない。

競馬はギャンブルには違いないけど、パチンコなどにはない

かけがえのない夢とロマンを与えてくれる。

そして夢とロマンの形はひとつだけじゃない。

往年の走りが衰えてもなお走るタップも、

かえがえのない夢を与えてくれた。

引退式で首にかけられた花を食べてしまうところが、また愛しく感じてしまう。



JRAの傑作CM「引退編」に、

ペガサスを、ロブロイを、ヘブンリーを、タップを重ね合わせた人は多いと思う。

偶然見つけたこのHPは泣けます。

http://goraku.skr.jp/limit/lastrun.html





さて今年ももう終わり。

いろいろと悩みに悩んだ一年やったけど、

素敵なこともたくさんあった。

来年はどんなことが待ち受けているのだろうか。

みんなが、俺の大切な人たちが

幸せな日々がおくれますように。

そして俺もサンライズペガサスのような

夢とロマンを人にあげることができるような男になれますように。