ペガサスは最後まで光輝いていた。



4コーナーを曲がった時点で16着。

仕掛けどころはゼンノロブロイよりも少し遅く、

ロブロイの更に外を回って、

最後の直線に賭けた。

今回のJCは脅威のハイペース。

ハナを切ったタップダンスシチーのペースは、

東京2000メートルのレコードを0,3秒も上回った。

これが天皇賞ならば、ぶっちぎりの優勝ということになる。

8歳になるタップダンスも、まだ死んでなかった。

結果的にタップダンスのペースが、

今回のワールドレコードを生み出すことになる。



ラスト400m、ペガサスは今までにない末脚を爆発させた。

並みいる強豪をなで切り、

ラスト100mで6着にまで食い込んだ。

「大外からサンライズペガサスも突っ込んできた!」



結果はそのまま6着となったが、

復帰してからのどのレースよりも光輝いていた。

勝った大阪杯、毎日王冠以上に、

ペガサスの最大の魅力である末脚を爆発させた。

G1の舞台でやっと花開かせることができた。

負けた悔しさは、あまりなかった。



馬の一生は短い。

競走生活は長くても5年くらいである。

名も知れず消えていく馬も星の数ほど存在する。

抜群の能力を持ちながらも、

故障して引退を余儀なくされる馬もいる。

突然の事故で命を落とす馬もいる。

強く、はかない者たち。

そしてあまりにも短いからこそ、

「どのように生きたのか」が

際立って見えてくる。





ペガサスは、俺に「で、お前はどうなんだ?」と

語りかけてくるように思える。